‐Children‐
肝試し
現在は7月
昼間の気温は夏に近づいているが日が沈めばどこかひやりとする
……流星学園、学生寮
その近くには小さな森があった
野外演習にも使われる敷地ではあるが、その奥には古びた研究所がある
もともと政府の土地だったのだから寂れた研究所が残っていても不思議はない
しかし、その風体は一種の怪談を生み出すにはもってこいだった
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「キャア!!」
バサッと茂みから飛び出した鳥に桃香が声を上げる
「ただの鳥だよ」
「ちょっと泰刃!置いてかないでよ」
スタスタと先へ行ってしまう泰刃のシャツを桃香は掴む
泰刃は呆れたように振り返り、桃香が手にしているライトを取る
「じゃ、僕が先歩くからついてきなよ」
ため息をつく泰刃を桃香は睨み付ける
「怖いものはしょいがないでしょ!ていうか、何であんなとこに行かなきゃなんないの」
「僕のセリフだよ……でも頼良には逆らえないだろ」
2人はため息をついた
その時、
「え?………キャアーーーーーーー!!!」
「何!?」
突然叫んだ桃香に泰刃が驚くと、震えた声で叫ぶ
「ひっ!火の玉!!」