‐Children‐
寂れた研究所は窓ガラスが割れて床に飛び散っている
随分放っておかれたのかかなり荒れた様子だ
そして、いかにもこの世の物ではないモノが住み着いていそうではある
「何で入るの!こんなところ早く出ましょう!」
桃香が震えながら言っても2人には届かない
口喧嘩をしながらも、どんどん先に色んなところを見て回っている
成り行きに任せている泰刃は可笑しげに桃香と昴を振り返る
「2人とも恐いなら帰れば?」
「バカいわないでよ!」
女の子2人だけて暗い森を引き返せるわけがない
しかなく、先を行くレオと琉、そしてそれに続く泰刃にくっついて歩いている
桃香はふと自分に触れる体温に視線をやる
小動物を思わせる黒目がちな瞳を震わせて、前を歩くバカ2人を恨めしげに睨んでいた
桃香も、レオでさえ倒してしまったとは思えない華奢な手は今、縋るように桃香の身体の回されている
もちろん桃香も頭一つ分小さな昴を抱き締めている