アオ×ソラ ~We love 軽音部っ!~

 「沙紀は死んだ。」

正確には殺されたんだ。

沙紀の…実の父親にね。

 「オレの見ている前で…なんだけど。
  …あの時の沙紀の顔は忘れられない
  。」

沙紀の表情が凍りついて…。

そのまま地面に崩れ落ちた。

真っ白だった雪が赤く染まっていく。

今でも嫌なくらい鮮明に覚えている。

 「沙紀の家、会社が倒産して大変
  だったらしいんだよ。
  でも…殺すかなぁ、普通。」

夏目という苗字だけでもオレは反応してしまう。

沙紀をまだ探している。

 「好きのひとつも言えなくてさぁ…。
  ダサいよなぁ、オレ。」

 「っ…。」

亜緒が泣いていることに初めて気づいた。

 「ゴメン…。
  泣きたいのはソラ君のほうだよね…。」
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