彼女はきっと振り向かない
そう。たぶん俺は、自分の欲求よりも相手の欲求を満たすためにこういう関係を続けてきたんだろう。
気持ちがなければ、満たされないって気付いていたのに。
「そっか・・・もうこんなのやめなよ」
「ミキ?」
振り向くと、ベットに顔をうずめている彼女がいた。
たぶん泣いてる。
「虚しいだけじゃん」
あーやっぱりミキも満たされなかったんだな。
俺は一体何やってんだろう。
二人でホテルを出た。
そのとき、
「ありがとね、響。友達として・・・よろしく」
ミキが無理やりつくった笑顔で言った。
初めて、彼女を心底美しいと思った。