彼女はきっと振り向かない
__________Side.くるみ
なんで?なんで?なんで?
どうしてあたしを見てくれないの?
ねえ、あなたの隣にいるのがどうして・・・
「杉野みちる」なの?
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「最近、王子にベタベタしすぎじゃない?」
事の発端は、愛菜の何気ない一言だった。
クラスメイトだけではなく、学年の大体の人間が斎藤廉と杉野みちるの確実に縮まっている距離に気付き始めていた。
私はその一言によって、向き合わざるをえなかった。
二人がもしかしたら付き合っているかもしれないという事実と。
「・・・席隣りだからじゃないの」
「それにしてもだよ。・・・相良に聞いてみようか?」
相良・・・響。校内でも有名なチャラ男。
王子には劣るけど顔もイケてるし、女の扱いもうまい。
そんな彼と王子が幼なじみというのも有名な話。
「いいよ、別に」