彼女はきっと振り向かない
5th. 嘘と本音
七尾の想いを知ったあの日から、なぜか彼女は委員長を仲良くなっていた。
一体何を考えているんだ?
好きなやつの彼女をわざわざ仲良くなるなんて、辛いだけな気もする。
「響、」
ふと、呼ばれたほうに顔を向けると隣の席のミキだった。
「ん?」
「響が好きなの、どっち・・・?」
「は?」
唐突にそう聞かれて、俺は間抜けな声を出した。
「委員長と七尾さん」
「・・・ミキ、次の時間さぼろ」
そう言って彼女の腕を引いた。
その様子を見ていた視線に気づかずに。