彼女はきっと振り向かない
「みちる、ちょっと来て」
そう言って、二人は教室とは逆の方向へ行ってしまった。
あんまり人がいないから良かったものの、あんな行動をとったら目立つだけだ。
廉てけっこう抑えきかないタイプだよなーなんて笑っていると、
見覚えのある顔が、教室とは逆の方から走ってきた。
「あ、」
七尾だった。
声をかける間もなく、上靴のまま外に飛び出してく。
「おいっ」
俺の声にも振り向かず、どんどん小さくなる姿。
俺はそれがほっとけなくて、戻しかけたローファーを履きなおし追いかけた。
何でだ?あいつのことなんて、気にする必要もないのに・・・。
どうして俺は今、七尾を追いかけているんだろう。