彼女はきっと振り向かない
6th. 絡まる運命の糸
人を好きになるってこんなに苦しいのか。
今まで俺は何人の女を傷つけてきたのか。
好き、と何度言われても、笑って誤魔化した。
知らないふりをした。
俺も好きと嘘をついた。
こんなに痛くて切なくていらついて、それ以外考えられなくなるなんて思わなかった。
今まで散々人を傷つけた罰なんだ。
俺の初恋が、叶うはずもないのは。
「響」
屋上でボーっとしてると、聞きなれた声がした。廉だ。
「廉がサボりなんて珍しいな」
「お前、呼んでこいって担任に言われたんだよ。ふざけんな」
「それはそれは、ご苦労様です」