彼女はきっと振り向かない
あの日、泣きじゃくる彼女に俺は何もできなかった。
ただただ抱きしめることしか。
授業なんてまともに聞いてられる心境でもない。
「戻れよ。お前、単位・・・「へいへい」
あいつが泣いたのは、お前が原因だよ、なんて一瞬でも思った俺は最低だ。
別に廉が悪いわけじゃない。
「なんかあったのか?」
「は?」
「お前が屋上来て寝ずに、考え事なんて普通じゃねえよ」
はは。たしかに・・・。
「あー・・・まあ、そろそろ将来やべえなって」
「だったら、授業出ろよ」
今ので誤魔化せたとは思えない。廉は妙に勘が鋭いから。
いつか・・・廉に打ち明けられる日が来るんだろうか・・・。