彼女はきっと振り向かない
「…唐突だな」
漫画を広げようとしていた廉に向かい、問いかけたもんだから無理もない。
「お前、悩んでるの分かりやすいから」
「いや、ほんと響の前だと俺、だめだ」
「俺はお前の彼氏かよ」
「それは断る」
「こっちのセリフだ」
茶番を繰り広げるくらいの元気はあるらしい。
「まだ言えてねえんだ…俺のこと」
「委員長に?」
「ああ」
そう言えば、タイミング逃したまま、早3か月か…。
「それは厄介だな。なんか、こう…二人で過ごすイベント的なのはないわけ?」
「あ、俺の誕生日」
「そういや来週か。そこで言うしかないな」
「でも…なんて言えば…。本当の俺は王子でもなんでもなくて…」
とうとう項垂れてしまった、廉。
こいつがこんなに悩んでるの中学の彼女んとき以来だな。
やっぱり恋愛に対しては、不器用なんだな。