彼女はきっと振り向かない
「あーそっか」
うちの学校の理事長と廉の親が仕事絡みで仲も良いらしく、会うたびに「あまり騒ぎを起こさないでほしい」と言われてるんだっけ。
「・・・学校やめるか」
「は?」
「王子じゃなく、斎藤廉として向き合いたい、彼女に」
廉・・・。
こいつの境遇って端から見れば、恵まれてるのかもしんない。
だけど、どんなに人から好かれて必要とされてるやつでも抱えてるものってあるんだよな。
「止めないけど。そんな勇気あんの?」
「ほんとお前ってはっきりモノを言うよな」
ふっと自嘲気味に笑った廉。
昼休みの終わりが近づいていた。