彼女はきっと振り向かない
2nd. 近づく距離
「ミキは響のほうが好きだな、王子より」
乱れた服を整えていると、唐突にそんなことを言われ、ちょっと拍子抜けした。
「いきなり何?まぁ普通に嬉しいけど」
「今どき草食がいいなんて、みんなどうかしてるよ」
ミキはボタンをとめていた俺の手に自分の手を重ねてきた。
「ミキのこと…そろそろ本命にしてよ」
「うーん本命はつくらないから」
サッと彼女の手をかわして、理科準備室を出た。
「ヒドい」となじられたけど、もう慣れてるしその通りすぎて否定する意味もない。