恋模様2



「何?辞めるだと?」




入社して半年で辞めたいという奴は初めてだった




「すみません」と頭を下げる堂々の顔は何故か複雑で悲しい顔をしていた




佐伯の若社長から話は聞いていた。堂々の彼女の意識がいつ戻るか分からないと…




もしかして、写真を撮るのが苦しいのは、「彼女がいない世界」を撮るのが嫌だからじゃないのか?




だとしたら…アイツは、好きな写真を撮ることよりも、大好きな彼女のために辞めようとしているんじゃ…




「堂々…、これは受け取れない」




「どうして…、どうしてなんです!?」




辞表を堂々に返し、代わりに1枚の紙を渡した




「何ですか?」




「見れば分かる。写真のコンクールだ」




堂々はコンクールの内容が詳しく書かれた紙に目をおとした






< 18 / 88 >

この作品をシェア

pagetop