恋模様2
「何?辞めるだと?」
入社して半年で辞めたいという奴は初めてだった
「すみません」と頭を下げる堂々の顔は何故か複雑で悲しい顔をしていた
佐伯の若社長から話は聞いていた。堂々の彼女の意識がいつ戻るか分からないと…
もしかして、写真を撮るのが苦しいのは、「彼女がいない世界」を撮るのが嫌だからじゃないのか?
だとしたら…アイツは、好きな写真を撮ることよりも、大好きな彼女のために辞めようとしているんじゃ…
「堂々…、これは受け取れない」
「どうして…、どうしてなんです!?」
辞表を堂々に返し、代わりに1枚の紙を渡した
「何ですか?」
「見れば分かる。写真のコンクールだ」
堂々はコンクールの内容が詳しく書かれた紙に目をおとした