恋模様2



「敦君だって、本当は分かってるんでしょ?」




俺の体に電気が走ったような感覚がする




やめろ、やめてくれ…




「敦君は…」




「やめろー!!!!」




俺は気が付けば、病室を飛び出していた。途中、看護士に何か言われたが、聞こえないふりをした。だって、早くこの病院から逃げ出したかった




「円香…」




敦君が出ていった先を見つめていた。本当は敦君を追い詰めることはしたくなかった




「ごめんね、佐伯…。あたし、お節介だからさ…」




後悔した。なぜ、言ってしまったのだろうか…




だが、佐伯は優しくあたしを包み込んでくれた




「円香は何も悪くはねぇよ…。敦の本当の心を感じ取っただけだ」




そういう佐伯の声が震えていた。あたしは佐伯の涙を見えないように、腕に力を入れた








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