恋模様2
「10分程、お願い出来るかしら?」
「本当ですか!!ありがとうございます!!」
俺の体から一気に力が抜けた。これほどまでに緊張していたのか、とも思う
健太君もホッとしているような感じだった
「それじゃあ健太、お兄さんの言うことをよく聞くのよ」
健太君の母親は、俺に一礼をして去って行った
母親の姿が見えなくなってから気がついたのだが…
これからどうすればいいんだ? 健太君も下を向いている
「と、とりあえず…お母さんが来るまで、そこのベンチのとこにいようか?」
俺の指差す方には、黄色のベンチがあった。健太君には必要ないだろうけど…
健太君は首を縦に振った。健太君を俺の隣に並ぶような位置に腰を降ろした
さて、次はどうしようか…。健太君の話を聞いただけで、本人に会うのは初めてだから、何をしたらいいのか、分からないのだ
あーだ、こーだ悩んでいるうちに、健太君が俺の膝を叩き、スケッチブックを見せてきた
−爽お姉さんのことを知ってるんだね?−
俺はうん、と首を縦に動かした
−爽お姉さんとは、友達?−
「友達?う、うん。友達だった」
−だった?−
「こんな俺が言ってもいいのか分からないけど…、恋人だよ」