恋模様2



風の中、俺は必死に爽を捜す





「爽、爽どこに行ったんだ!!」





しかし、答えるはずもなく、風は強く吹き荒れるだけ





「…………っ、ぁ」





「!?」





風の中、爽の声が聞こえた気がした





「何で写真を諦めんだよ」





いや、確かに爽の声が聞こえる




「そ…「あたしの為か?」





俺はその言葉に、体が固まってしまった





「あたしのいない世界を写すのが、怖いのか?」





爽に俺の心の中を覗かれている気がした





「どうして…」





俺は心の中で呟いたつもりだったが、知らないうちに口にしていた





「ふっ、あたしもただ寝ているだけじゃねぇんだよ」





風が止み、目の前に今と変わらぬ爽がいた









< 63 / 88 >

この作品をシェア

pagetop