恋模様2
「写真は嫌い…じゃない。ただ、爽のいない世界が嫌いなんだ」
俺は、爽に叩かれた頬に痛みを感じながら、言葉を続けた
「爽が眠っている"今"を写真に写そうとすると、爽がいない世界はこうなんだって感じて…。俺、爽がいなくなることが怖くて…、爽の写らない写真を撮ることが怖いんだ」
俺は漏れる泣き声を必死に我慢した
「……馬鹿だな、馬鹿だよお前は」
爽の言葉と共に、爽の腕の中に包まれていた。俺は、驚きのあまり、声が出なかった
「あたしは死んでない!!生きてるんだ。あたしが居なくなるわけがねぇだろ!だって…、大好きなお前を置いて逝かないよ…」
「だったら、なんで目を覚まさない?みんな心配してるんだ」
「ごめん。でも、待ってて。必ず、ただいまって言うから…。信じて待ってて?」
爽の顔が哀しい顔から、優しい顔になり、温かい気に包まれているような感じがした
俺は爽自身から聞きたかったのかもしれない。「帰る」の一言を
「だから敦、写真撮って?」