恋模様2



「ヤス、あたしの答えはNOだ」





そうきっぱり答えた爽を、今でも覚えている





「理由?そんなの簡単だ。ただ、あたしがお前をダチ以上には見れなかっただけだ」





爽の後ろ姿は逞しく思えた





「お前は、敦が好きなのか?」





康弘が悲しそうな、沈んだ声で爽に問い掛ける





「違うな…」



「何が違うんだ!?」
「爽…?」






「あたしは敦が好きなんじゃなくて、敦の撮った写真が好きだったんだ」






あの時の爽の笑顔は、何だか悲しそうで、切ない笑顔だった





その時はもう、敦君からさよならを告げられていたのだと思う
。あたしたちの幸せの為に、笑ったんだと今では思うんだ





だって、





足早に去っていく爽を呼び止めようとしても、振り返りはしなかった





爽、知ってた?
爽は必死に我慢していたと思うけど、口から洩れる声が聞こえていたんだ








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