黒猫にご注意を
「じゃ、着替えれたら呼んでね」
サクロが出ていき、ゆっくり着替え始めた。
手渡されたシャツに手を通すとフワリと香る柑橘の匂い。
優しく香る匂いに無性に懐かしさを感じた。シャツに顔を埋める。
爽やかな柑橘の匂いは元いた場所を思い出させて改めて、自分が違う“異世界”というものにいることを実感する。
「サクロ。着替えれたよ」
壁にもたれているサクロに声をかけて、サクロの前に出た。恥ずかしい、ので視線はやや下向きになる。
そんな私を見て、サクロが抱きつくと
「可愛い、可愛い過ぎるっ!!」
興奮した面持ちで声をあげる。
白シャツに茶のベスト、薄い赤チェックが入ったミニスカート。
初めて。といっていいほどの着なれない服。
スカートの丈が短すぎるかなと気にしているが中にズボンをはいているため、動いても何ら支障はない。
「さて、アークはなんて言うかな。」
二ヤリ、と悪戯な笑みを浮かべたサクロに何といったら良いのかわからなくてただ黙った。