黒猫にご注意を
†††
「アーク!!」
名前を呼ばれて、振り返る。
周りにいた船員たちも何かと振り返る。
船の舵を見ていたのでトコトコ、と船室の入り口にいるサクロの前にあるいていく。
「なんだ?」
嬉しそうな顔で見下ろすサクロに怪訝な顔をしながらも聞く。なんかよからぬことを考えてなければ良いが………。
サクロは満足げに、見下ろすと・・・
「時雨っ!!いいよ!!」
振り返り、時雨を呼ぶ。
何を、わざわざ・・・。とこちらに向かって歩いてくる時雨を見ると。
「・・・・・」
息をするのも忘れて時雨を見つめてしまった。
おずおずと、足を踏み出す時雨は頬を先ほどと同じように朱に染めてスカートから出ている足を隠そうとしながらこちらに向かってくる。
その姿ほど、可愛いものは無かった。
細い体がより一層強調されているが、それが逆に時雨の良さを引き出している。
そう、儚い印象を。
__守ってやりたい。
と強く、強く、思えるほど。
「・・・サクロ・・。」
ハッと、時雨の声で我に帰る。
__自分は、何を見つめていたのか。
けれど、もう一度見ようと時雨を見上げればもう、目を離せなくなりそうだ。
でも、そんな誘惑に負けてしまうほど、
時雨は、可愛かった。