黒猫にご注意を
「そうなのね。想いを大切にすることはいいことよ。」
“占い師”は少女の首もとを見て嬉しそうに微笑んだ。
「まだ、着けていてくれたのね。」
少女は首もとのネックレスに触れた。
「ええ。大切にしているの。」
少女もふわりと笑う。
「じゃあ、もう一度言いましょう。
“黒猫”に注意なさい。」
「それは、忠告?警告?」
「さぁ、私にいえるのはそれだけよ。」
少女はクス、と笑って“占い師”に背を向けて歩き出した。
少女はもう一度上を見上げた。
墨で塗りつぶしたかのような空。
そこからヒラヒラと舞う白い雪。
対照的な色味が少女をより、幻想的にさせる。
少女は瞳をつぶり、
「 。」
誰にも聞こえぬ声で言った。
何と言ったかは誰にもわからない。
わかるのは、少女のみ。