黒猫にご注意を
「どうしてそう思うの?」
「さぁ、どうでしょう。」
老婆は私ををみて意味ありげに微笑む
それを見て私はより一層眉を寄せた。
「手袋をはめない貴方は何か守っているのかしら?」
老婆の言ったことに体をビクつかせる。
__図星、だと思った。
そして少し笑った。
「図星ね。貴方、黒猫に注意なさい。」
「それは警告?それとも忠告?」
「さぁ、どうでしょう?」
老婆は笑みを残し歩くよう促した。
老婆を気にしながら歩いたが、少し歩いてから振り返った。
「っ!・・・・」
老婆に何か言おうとしたが、私が振り返った時にはもう老婆はいなかった。
__ツメタイ、テ
もう感覚すらない掌をじっと見つめた。
__幼いころからずっと手は冷たかった。
__それ故、傷ついたときもあったが・・・
__暖かくしよう。なんて思ったことないのに・・・
「満月か・・・」
満月を見て微笑んだ。誰も見ていない中満月だけは私を優しく照らしていた気がした。