黒猫にご注意を
†††
「んっ・・・」
黒髪が顔にかかり、うっすらと目をあける。
ぼんやりとした視界の中、室内にいることだけはわかったが・・・
「ここ、どこ・・・」
見慣れない天井。
慣れ親しんだベッドの感覚ではない。
まだ覚醒しきってない頭で必死に考える。
__ここはホントにどこ?
自分を安心させるように肩をさする。幼い頃からの自己防衛。もう、やることはないのだと思っていたのに。
「ミャア」
とひと鳴き、黒猫が姿を表した。私はマジマジと黒猫を見る。
「貴方、猫?」
疑わしげに黒猫を見つめると黒猫は一瞬だけ月色に輝く瞳を伏せてこう言った。
「俺は人間だ」
「・・・・は」
瞳を丸くして一言。
「・・・猫が喋った。」
猫は哀しそうに上を見た。否見てないのかもしれない。
「なんで?」
冷静に対処しようと瞳が揺れてる。けれど、戸惑いは隠せていない。幼さが残る少女の顔を黒猫はジッと見つめた。