シュガー*エッセンス(加筆修正中)
『……さむっ。』
コートも手袋も、何もなしに飛び出していたあたし。
持っていたのは、制服のポケットにあったカイロと携帯だけで。
あたしはカイロを取り出し、両手に息を吹きかけ寒さをしのぐ。
もうそろそろ、温かくなり始める頃。
なのにまだ雪が積もるあたしの地域は、春の気配なんて一切ない。
『……。』
携帯をポケットから取り出し、それを開くあたし。
少しだけ、かじかんできた指先。
でもまだ家を飛び出したばかりで、そこまで冷えていないから。
だから、特にボタンの打ちにくさを感じることはなかった。