白狐の書


 ……悪ぃ、睡。……俺、マジで助かんねぇ。





 死が、近付いてくる。

 ひたり、ひたり、と俺の傍に近付いてくる。

 怖い。死にたくない。そう思うことすら、億劫だ。





 ……痛ぇし……なんなんだよ、マジで。





 睡の誕生日プレゼントを買いに出掛けた結果が、これだ。

 神様って奴は、どうにも、いいことをする奴の味方というわけではないらしい。

 それが分かっていたら、もっと好き勝手に生きてやったというのに。

 今更ながら、そんな悪態を青空に向かって吐き捨てる。

 ただ単に、口の中の血が吐き出されただけだったが、それで十分だ。

 神様に、最期に一度だけでも悪態がつけたのだから、それ以上に望むこともない。


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