白狐の書


 「お前が望むなら、お前を生かしてやってもいい」

 「……猫耳女が、何言って、ゲホッ……んだよ」

 「猫耳じゃない。狐だ。」





 「あっそ」と笑い飛ばしてしまいたいが、血液が口から散らばるだけだった。

 我ながら、よくぞ延命しているものだと思う。

 普通ならば、即死か、すぐに気を失って絶命するだろうに。





 ……その分、生殺し状態で、痛みを多く引き受けているのだが。


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