白狐の書


 「どうだ?生きたいと言って、狐に命乞いするのも、一つの手だぞ?もちろん代償はもらうが」

 「……?」

 「血を分けてもらう。致死量には至らないから、安心しろ」





 まるで、悪魔の契約だ。

 けれど、そんなつまらないものに頼るのも、悪くはない。

 真っ白な悪魔に命乞いをして、睡へのプレゼントを無事に渡せるのなら、悪魔との契約もいい。





 そして俺は、願った。





 言葉にならない声で。





 たった一言……──





 「……生きたい……」





 ──……と。


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