白狐の書


 ……おい、俺の血飲んでるぞ、こいつ。……狐っつうか、吸血鬼じゃねぇかよ。





 真っ白な悪魔は、動けない俺の上に股がり、俺の血を啜っている。

 あまりにも異様な光景に、意識がどこかに吹っ飛びそうだ。

 ついでに、出血多量で意識が吹っ飛びそうなのだが、そちらは、吹っ飛んだら最後、二度と戻ってくることのない意識になることだろう。





 「お、おい……っ……出血死するぞ、俺っ……ケホ……」





 無駄に喋ると、余計に血液が失われる。

 なぜかと言えば、咳き込んで、口から大量に血を吐いてしまうから。


< 21 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop