白狐の書
言われ、はたと思い当たる。
確かに、先程はそんなことを考えていた。
白狐に話しかけられ、思考が乱されたことにより、途中で考えることをやめてしまっていたが。
……時間まで止められるとか、マジでなんなんだよ。
白狐様とか言ってっけど、実は神様なんじゃねぇだろうな。
「……白狐様、時間はいつまで止めてられんの?」
「私が望む限り永遠にだ。何か問題でもあるのか?」
「んじゃあ、世間知らずな白狐様は、一回俺ん家に来た方がいいな。どうせ、その服以外持ってねぇだろ」
「まぁ、この着物以外は持っていないが……問題があるか?」
「大有りだっつの。つか、その耳が一番問題だ」
耳があることに違和感を感じていないのだろう。
とりあえず、服を着替え、帽子を被ればなんとか誤魔化すことができる。
俺は、徒歩で十分くらいの所にあるだろう我が家へ、白狐を案内することにした。