白狐の書


 ──白狐を家に連れてくるにあたってかかった時間は、0分。

 白狐様が人間界にくるにあたり、ご丁寧にも、時間の波を止めてくれたらしい。

 おかげさまで、身体中が血だらけではあるものの、なんとか生きている。

 そして、俺の家を見るなり、白狐はぽつりと──





 「犬小屋か?」





 そんな一言を吐き捨てた。

 とんでもない侮辱の言葉ではあるのだが、命の恩人であるため、なんとかその場は気持ちを抑えた。

 更に、家の中に招き入れ、俺の部屋に入れると、白狐はまたしても真顔で──





 「……なんだ?この犬小屋にもならなそうな場所は」





 と、呟いた。

 さすがに我慢できず、怒鳴り散らす。それはもう、睡にも言ったことがないような、言葉の打撃で。


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