白狐の書


 「おはよう、蓮。日曜日だっていうのに、早起きなのね」





 おしとやかに笑って、姉の睡は出来上がったばかりの朝食を、テーブルの上に置いた。





 今、俺は睡と二人きりで生活をしている。

 両親は、俺が小学生の時に他界してしまった。

 未だバイトもせずに、のうのうと高校生活を楽しむ俺に対して、歳の離れた姉は何も言わずに、俺を育ててくれている。

 学費に生活費、その他諸々の金は、睡がなんとか稼いでくれていて、正直、何もしていないことに息苦しさを感じている今日この頃。


< 3 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop