白狐の書


 「にしても困ったな。名前なんか思い付かねぇし」

 「なら白狐でいいだろう。ねーみんぐせんすとやらが、お前は疎いように思うからな」

 「万歳近い奴が『ネーミングセンス』って言うと、平仮名表記になんのな」

 「白狐だからな」

 「へぇ……」





 しかし、本当に困ってしまっている。

 駄弁ってはいるが、本当に悩んでもいるのだ。

 立ちっぱなしで俺を見下げている白い狐の言う通り、俺はネーミングセンスに乏しい。

 悔しいが、そればかりは認めざるを得ない。

 結果、血だらけの服を着替えることも忘れ、俺は考え込む。


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