白狐の書


 ここまで否定的な狐は、世界中を探しても、この白狐様だけだろう。





 「じゃあ、なんて名前がいいんだよ。白狐は却下。呼びにくい」

 「なんてわがままな奴だ、お前は。何様だ」

 「蓮様だろ」

 「……お前、それ、ちゅうにびょうとか言うやつか?」

 「お前、本当は現役高校生じゃねぇだろうな。どこで覚えたんだよ、そんな用語」

 「……さて、いつだったか。長生きし過ぎるというのも問題だな」

 「そうだな。人間だとそういうのは、物忘れの激しい年寄りが言うセリフなんだけどな」

 「年寄り?人間界にも、百万歳を超えている者がいるのか?」





 嫌味が通じねぇ……!


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