白狐の書


 「……人間の寿命は、せいぜい長くても百歳が限界だよ」

 「普通の狐よりは長生きだな。百歳というと、私は何をしていただろうな。千を超えた頃なら覚えているんだが……」

 「あっそ……」

 「確か、白狐の書を作り出せた頃だったか。……あの頃は、私も派手な人生を送っていたな」





 そう言い終わると、軽く溜め息をついて、どこからか白狐の書を取り出した。

 その真っ白な本に、思わず目を奪われてしまう。

 人間の俺からして、白狐の書はとてつもなく魅力的だ。

 ニートとしても生きていけそうな気がする。しかも、世界一の金持ちの、自宅警備員。


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