白狐の書


 軽い口調で説明をしている狐に対し、俺は違う疑問を抱く。





 ……それ、やっぱり万能アイテムなんじゃねぇの?





 否定ができることならば、全てが思いのままになる。

 それを叶えてくれる、真っ白な本。

 俺が思うに、狐ごときから生まれたその本は、神様もビックリな能力を持っている。





 「拒絶すりゃなんでも叶えてくれるってんなら、やっぱ万能だろ、それ。できないことねぇじゃん」

 「あるんだよ。……未来を見ることや、死人を生き返らせることは、事実、できていないんだ」

 「なんでだよ?『見えぬ未来の無き事』とか『死ぬ者の無き事』とか、そんな感じで否定できんのに」

 「それは、神の領域になってしまうんだろう。私が立ち入ってはいけない所だ」


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