白狐の書


 「……で、他に私に訊きたいことはあるか?」

 「ん?……あぁー、好きなもんとか……」





 名前の参考になりそうだし。

 ……ぶっちゃけ興味ないってのは、秘密な。





 「好きな物?そうだな、特にはないんだが……星は、好きだ」

 「星?」





 その言葉に、俺は睡のために買ったプレゼントのことを思い出した。

 未だにちゃんと俺の手の中にはあるのだが、血だらけで、箱も潰れてしまっている。

 とてもじゃないが、箱ごと渡すわけにはいかないだろう。





 「……はぁ……」

 「どうした?なぜ溜め息をつくんだ?星が嫌いか?」

 「いや、星は好きだよ。オリオン座くらいしか知んねぇけど」

 「お、おりお?りおん座?」

 「分かんねぇの?意外に無知だな、長生きのわりに」





 くつくつと笑ってやると、狐は耳を垂らしながらむくれた。

 自分からいじめておいてなんだが、可愛い。物凄く。

 ギャップ萌えというわけではないのだが、これは反則だ。


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