白狐の書
「……今日は仕事休みだろ?」
「えっ?」
急な俺の問い掛けに、睡は洗い物の手を止め、俺を見た。
見開いた目は、しっかりと俺を捕らえている。
目を逸らすことも出来ずに固まっていると、睡は瞬きを数回してから、口を開いた。
「まぁ、休みではあるけど。……どうしたの?何か頼み事でもあるの?」
「いや、つうか……」
その過保護っぷりに呆れながらも、俺は、違う意味でも、睡に呆れてしまっていた。
「今日、お前の誕生日なんだけど……」
自分の誕生日って忘れるもんなのかよ。
……まぁ、毎年だけどな。