あなたたちは私の宝物
家に帰って、じっくり母子手帳に目を通した

とりあえず表紙には母子手帳が交付された
日付だけが書いてある

その下に私の名前と年齢を書く欄があった

中を開くと、まずは父と母の名前と
年齢を書く欄が並んでいた

それから、生活の様子を書く欄が並んでいた

職業とか、居住環境についても書く欄がある

妊婦検診の結果を書く欄がズラッと並んで
母親教室への参加の様子を書く欄もあった

それから出産の様子

そして子供の7歳までの成長を書いていく欄

予防接種の記録を書く欄もあった

この一冊に全ての記録が記されていくんだと
しみじみ思った

私と子供の記録

一生残されていく記録

私はギュッと母子手帳を胸に抱きしめていた

そしてふーっと息を吐き出して
ペンを手に取って書こうとした

あ…名字が違うんだ…

私とマサは名字が違う

最初の難関が私に押し寄せてきていた

でも仕方ないんだ

あとから修正すればいいだけなんだよね



マサと違う名字をそこに書いていた

本当はマサと同じ名字を書きたかったのに

今はそれさえ叶わない

とりあえず書ける箇所を全部書いていった

これからどんどん埋まる空白のスペースは
私の中の未知の世界だ

こうして、初めての母子手帳は
私の不安と期待を沢山背負った
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