あなたたちは私の宝物
問診と触診を終えてカルテに何かを書いて
私の顔を見た先生は一息おいてから言った

『お腹に異物が入って体が過剰に反応して
蕁麻疹が出たんです』

はぁ!?

何!?

異物って!?

赤ちゃんが異物!?

とてもムカついて…

悔しくて…

何だか涙が出そうになってしまう

ふざけてる

赤ちゃんを異物だなんて

涙を我慢しながら下唇を噛んでいた

『妊娠中なので、あまり内服薬を処方
したくはないので塗り薬で対処します。
痒みがありますが
出来るだけ我慢するしか方法は無いですね』

先生は淡々と話した

その無表情の冷静さがまた私をイラつかせた

『聞いてもいいですか』

『ええ、何でしょう』

『先生は妊娠の経験はあるんでしょうか?』

冷たい表情の先生は私を睨むように見つめた

そしてたった一言

『ありません』

それだけを言い放った

『だからそんな風に冷たいんですね』

私はそれだけを言って立ち上がって
背中を向けて診察室を出た

診察室を出た私は痒みを忘れ
スッキリした気分を味わっていた

もう二度とこの皮膚科には来ないと決めた

別の皮膚科を探そう

マサのお母さんには一部始終を話した

マサのお母さんはとても怒っていた
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