あなたたちは私の宝物
予定日まであと10日と迫っていた

入院の準備は万端だけど、日にちが近付くと
心の準備が、なかなか出来ない

もしかしたら、最後になるかもしれない
今日の妊婦検診は、いつもとは違っていた

お腹がずいぶん張ってるというわけで
お腹に機械をつけて、どれくらい張ってるのか
調べる事になった

別室に移動させられて、お腹にベルトみたいな
ものを取り付けられて、そのベルトと繋がった
大きな機械が、私の隣にあった

その機械からは、紙が出てくる仕組みに
なっているようで、その紙に書かれている
グラフの様子で、お腹の張りがわかるらしい

1時間ほど、機械を取り付けていて
その間、何度か看護士さんが、その紙を
確認しに来ていた

それが終わってから、また診察室へと通された

先生の説明によると、赤ちゃんが小さいわりに
お腹がだいぶ張ってきているので、もう少し
赤ちゃんが大きくなるまで、産まれないように
張り止めの薬を処方するという事だった

赤ちゃん小さいんだ…

私はこんなに太ってしまったのに

自分が情けなかった

とりあえず、薬をもらってから自宅へ帰った

まずは、マサが帰ってきて、事情を説明した

予定日までまだあるし、まだ産まれないって
事なんだなと、考える事にした

マサもあまり深くは考えていないようだった

私は先生に言われた通りに、薬を飲んだ

お腹から出てくるまでに、もっと大きくなって
くれるように願った

それと、ようやくマサが赤ちゃんの名前を
私に教えてくれた

“ユウ”

赤ちゃんの名前はユウ

ずっと前からマサが考えていた名前

お腹に向かって名前を呼んでみる

『ユウ』

何度も呼んだ

時々お腹から返事の胎動が返ってくる
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