モノクロ@レディ【完】
笑うことも慣れた。

走ることの息苦しさ、闘争心というものを、産まれて初めて味わった。

「価値がないんだよ」と言われたショックよりも、平気だと思っていた自分が、泣いている事実にショックを受けそうになった。

他人から見て、くだらないことで一喜一憂していた自分がいた。

初めて、馬鹿みたいに頑張ったことへの達成感を嬉しいと感じた。

世界が変わるような芸術に、目を奪われそうになった。

時には、描いてみたい、創ってみたいと夢を膨らませたこともあった。


それに、楽しいと感じた自分に驚いてしまうこともあって。

感情は高ぶる一向なのに、手が、作業が追いつかないという、言葉の意味が少しだけ分かったような気がした。
< 75 / 155 >

この作品をシェア

pagetop