私の依頼主さん。
プロローグ
今日で私は19歳。

私は今日、家を出る。


「…たまには帰ってきなさいね」

「ありがとう」


少し寂しそうな顔をしたお母さん。

私は微笑んで言った。


「寂しそうにしないで。
今日から私も、お父さんの借金返す手伝いできるんだから、お母さんの負担が減るのよ」


そう、私は今から働きに出る。


お母さんは小さく「ごめんなさい」と呟いた。


そんな顔をして欲しいんじゃないのに。


「お母さん」


私は優しく笑った。


「私が帰ってきた時、オムライス作ってね」


私のその言葉に、やっとお母さんは笑ってくれた。
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