私の依頼主さん。
そして、宗田さんに首を舐められた。


「嫌っ!!」


私は思い切り声を出し、逃げたくて暴れた。


その瞬間。

――ガツンッ!


鈍い音と共に、視界が紅くなる。

私は投げ飛ばされて、床に倒れ込んだ。


「え……」

『あ…、お前が悪いんだからな』


少し動揺したあの人の声がしたけど、それどころではない。

額が焼けるように痛い。


『顔を上げろ』

「……」


指示を出され、顔をあげると宗田さんは手際良く額を消毒し始めた。

私の額は、鈍器の角が当たったみたいだった。


痛いけど、静かにその作業が終わるのを待つしかない。



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