私の依頼主さん。
―ガチャリ。

玄関から、やけに響く重いドアが開く音。


『いらっしゃいませ』


ついにやって来た見学会。

練習で鍛えられた発声法を行い、全員で声を部屋に響かせた。


『田村様、今回は一番乗りですね』

『あぁ。
今回は少し変わった買い物がしたくなってな』


あの人と田村様の声を聞きながら、私達は頭を下げた。


今回は、田村様を先頭にざっと20人程度の依頼主が来ていた。


普通の若い人から金持ちそうなお年寄りまで、種類は様々だった。

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