私の依頼主さん。
『お、お客様。
値段はお客様が決めてください。
こちら側が決める事ではありません』

「じゃあ…」


あの人の言葉を聞いた後、彼はそう言って私を見た。

なんでかわからないけど、泣きそうになった。


「1000万円くらいでいい?」

『――!?』


いきなりの金額に、宗田さんの表情が変わる。


『お客様、普通に値段をつけるとどの子も100万円程度です。
それなのに、粗悪品を桁違いで買うなど……』

「うるさいな」


いきなり男の人は低い声を出した。


「この子の価値を決めたのは私です。
経営者側としても、高値で売れると嬉しいでしょう?

それとも、彼女を売りたくないのですか?
まぁ、私は買いますが」


そう言って、男の人は涼しげに笑った。

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