私の依頼主さん。
「中山 千秋と申します。
本日から、使用人として瀬川 透様の元で過ごさせていただくつもりです。
もちろん、ご家族様のご要望も精一杯叶えたいと思っております」

『…透くん。』


依頼主母は、私から目を反らさないまま依頼主さんに声をかけた。


「何?」

『この状況で言えば、秘書養成所に行ったのよね?』

「もちろん」


楽しそうな依頼主さんの声がする。


『なんで、この子なの?』


その言葉を聞いて、私は目を伏せそうになる。

でも、依頼主さんの腕に力が入ったのに気付いてすぐ依頼主母を見た。


「俺は、貯金の使い道を見つけたんだ」

『も…もしかして…』

「そう、1000万円で買ってきた」


とびきりの笑顔で言った依頼主さんを見て、お母様は白目を向いた。

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