私の依頼主さん。
「座らないの?」

「え?」


依頼主さんは自分が座ってるソファーをコツコツ指で叩いた。

私が立っているのが気に入らないらしい。


「私は使用人ですので、座るなどできません」

「……」

「ふ、ふてくされないでください…」


ブーなんて口から音を出しながら、依頼主さんは立っている私を睨む。

でも、すぐ笑顔になった。


「じゃあ、命令。
…ここに座れ」


涼しげな顔をしながら、依頼主さんは自分の膝の上を指す。


「なっ…!?」

「ほら、言うこと聞きな」


本当に涼しげに依頼主さんは言う。

私は考えて、依頼主さんと一人分のスペースを空けて座った。


「……」

「……」


しばし、沈黙。

でも依頼主さんは優しく笑って、私の腰をグイッと自分の方に寄せた。


急に縮まった距離。
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