私の依頼主さん。
「なんだか君に、満足できそうにないからね。
技術も半人前なんでしょ?
俺が頼んだ事できないんじゃ、大金払った意味もないし」

「……」

「母さんも納得してないし、こんな身なりの使用人なら、父さんだって反対するだろうし。
俺も君みたいな子買うなんてちょっと頭おかしくなったな(笑)」


そう言って、依頼主さんは立ち上がった。

あんなに優しい人なのに。

私は、この人になんて酷い事を言わせてしまうんだろう。


私は手を握りしめ、ソファーから降りて床に正座した。


「申し訳ございません」


そして、ゆっくり土下座した。
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