私の依頼主さん。
「中山 千秋と申します。
本日から、使用人として瀬川 透様の元で過ごさせていただくつもりです。
もちろん、……」

「あーダメダメ!!!!」


お姉さんに挨拶している途中なのに、すごい勢いで止められてしまった。


「依頼主さんの許可なく話してしまってすみません…」

「いやいや、それは大丈夫!
でも今はちょっと喋っちゃダメ!」


本当に一生懸命止められたから、私はお姉さんに向かってお辞儀するだけに留めた。


今まで私を見て固まっていたお姉さん。

依頼主さんに似た、涼しそうな雰囲気の容姿。

透き通る白い肌。

本当に綺麗な人だった。


『……ふふ』

「…?」


お姉さんから、小さな笑い声が聞こえた。


「始まった……」


それを聞いて、依頼主さんはうんざりした表情になった。
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