私の依頼主さん。
『ふふふふふ…』

「……」

「……」

『ふ、ふふ、ふふふ………グッ、ゴホゴホッ!』


私は笑いすぎてむせたお姉さんの隣に行き、背中をさすった。


「ちゃーちる、ほっといていいよ。
お姉さんって笑うといつも長いし、むせるから」

「…はい」


依頼主さんに止められ、しぶしぶ背中から手を離した。


『ちゃーちるちゃんありがとう。
むせた時に初めて背中をさすってもらったわ。
嬉しいものね。
…弟は可愛くないわ』

「うるさいよ」


私に笑いかけてくれた後、思い切り眉間にシワを寄せて依頼主さんを見たお姉さんは、やっぱり綺麗だった。

依頼主さんはまたため息を吐いた後、私の方を見た。


「俺の姉の、恭華(きょうか)」

『“恭”って呼んでね』

「よろしくお願いします」


私が頭を下げると、その頭に恭さんの手が触れる。

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